もとに戻る
大して酔ってはいなかったけれど、急に感謝の気持ちを伝えたくなり、LINEという直接ではない形でだが伝えた。
もう終わりなら終わりで最後に気持ちを伝えたかった。
どん底だったあの頃。この仕事をこんな形で辛いと思う日が来るとは思いもしなかった。そんな毎日の中、彼の明るさにどれだけ救われたか。気付いたら辛かったことも忘れ、私は笑顔を取り戻していた。
面白い人楽しい人ではなく、周りを笑顔にさせる人。そんな人。
読んでくれたらそれでいい。そんな気持ちで送った直後、まさかの電話が。
彼も飲んだ帰りだった。
戻っていた。前の私の好きな彼に戻っていた。
包み隠さずまっすぐな言葉が彼に響いたようだった。
嬉しかったとか、また飲みに誘うねとか、ドライブ行こうねとか、奥多摩まで連れて行って良かったとか、また甘えたいとか言っていた。
タイミングが違えば響くどころか重かった言葉達。今回は珍しくタイミングが良かったようだ。
安心したけれど、時間が経つ毎に冷静になり、今後の道をすごく考える。
飲む以外楽しいと思えないけれど、生活も金銭的にも何より精神的にも安心できそうな相手か。一緒に過ごせるなら何でも楽しくて、気を遣わず何でも話せて、前向きに物事考えていけるけれど、いろんな不安が付きまとう相手か。
もう精神的にざわざわしたくない安定志向の今の私は、安定を選んだ方がいいのではないかと思うけれど、それで間違っていないのだろうか。